『Harper’s Bazaar』誌がメルヴィン・ソコルスキーに春のパリ・コレクション撮影を依頼したのは1962年12月のこと.その時すでに彼の頭には,透明な球体と,重力から解き放たれてモデルたちが宙に浮かぶというアイディアがありました.斬新な表現に驚嘆するパリジャンたちをもフレームに捉えることで,ソコルスキーはこのイメージをストリート写真風に仕上げています.この「Bubble」から2年後に発表された「Fly」シリーズでは,球体から出たモデルたちが宙を飛び,女性の体によって服の構造とドレープが生み出されることを表現しました.幻想的なこの2つのシリーズは当時からアイコニックなものでしたが,ファッション写真の歴史の中では,その価値はさらに高く評価されています.今回の本では,初めてモノクロとカラーバージョンでこの2つを掲載.
メルヴィン・ソコルスキーは1933年にニューヨークで生まれ,マンハッタンのローワー・イースト・サイドで育ち,独学で写真家となりました.1959年頃,『Harper’s Bazaar』誌のアート・ディレクターだったヘンリー・ウルフは,もっと現代的なエスプリを雑誌に取入れたいと考えます.そのために新進気鋭の写真家たちを数多く採用し,その中の1人がソコルスキーでした.ソコルスキーは遊び心溢れるスケール感や革新的なボディランゲージをフレームの中に落とし込み,物語とモデルの間に大胆なコントラストを作り出しました.非現実的な小道具を考案し,ニューフェイスを発掘してはスポットライトを当ててきたのです.彼の眼差しには,時代のエスプリを形作る力がありました.
ルイ・ヴィトンの旅の伝統から着想を得た「ファッション・アイ」コレクションは,新進気鋭の写真家から業界のレジェンドまで,さまざまなファッション写真家の目で見た都市,地域,国を描き出しています.各タイトルには大判写真が豊富に盛り込まれ,写真家の経歴やインタビュー,あるいはエッセーなども収録されています.「ルイ・ヴィトン シティ・ガイド」と「トラベルブック」に続くこの第3のシリーズでは,選りすぐりの写真家たちが,大都会や遥か彼方の土地,夢のような場所を独自のイマジネーションを込めて捉え,ファッションの視点から切り取りました.
ファッション・アイ パリ
写真:Melvin Sokolsky
編集:Michel Mallard
シルクスクリーンプリントを施した布地のバインディング
96ページ
50~100のフォト
仏語と英語のバイリンガル版,Alain-Paul Mallardによる人物紹介と書評を含む





